2015年9月6日日曜日

「河野談話」検証についての、右派運動や論壇の反応

「河野談話」検証についての、右派運動や論壇の反応について、斉藤正美による報告は以下の通りです。                              「河野談話」検証(2014.6.20)についての、右派運動や論壇の反応を追った結果、明らかになったこととして、以下のことが指摘できる。 1.「慰安婦」問題についての右派言論人や右派メディアの反応  秦郁彦、西岡力氏といった学者の発言や語りは、その後の安倍内閣の方針として展開されることが多い  日本政策研究センター伊藤哲夫氏や同センター機関誌『明日への選択』の言論から、安倍内閣の意図が推察できる  検証の議論については、山田宏議員(当時、維新の党)が石原信雄元官房副長官の国会招致を提案し、それが実現された  産経新聞や『正論』が、政策の浸透や世論をリードするのに大きな役割を果たしている 2. 右派メディアの特徴  『正論』や『明日への選択』など紙媒体の記事であれ、重要な主張は拡散できるように、ネット上に再掲されることが多い
3.  検証結果について、右派メディアが特に強調したこと  「強制性がある」は、「情緒的な、動かされやすさ」や「無責任さ」という、河野個人の資質や人格的不適格性に起因すること  (見直しの議論よりも)海外に正しい情報を発信することが大事 ※資料: 再検証までの右派言説・論壇の流れ   (注:下線は、上記の指摘につながる箇所や、重要と思われる箇所に筆者がひいた) 2013.9  「つくる会」河野談話撤廃を求める署名30000筆提出 2013.10.16 『産経新聞』「元慰安婦報告書、ずさん調査浮き彫り 河野談話の根拠薄れる」 2013.11  西岡力「さらば河野談話! 暴かれたずさん聞き取り調査」『正論』12月号(慰安婦問題、反撃の秋 特集) ・・・「政府にチームを作ってしっかりと検証すべき」 2013.11  秦郁彦+『明日への選択』編集部『慰安婦問題の核心』・・「強制はあった」という河野談話の立場を見直す
2013.12.2 『夕刊フジ』「河野洋平自身が慰安婦募集の強制性(強制連行)を裏付ける「紙の証拠がない」と証言」 2013.12.5 日本政策研究センター伊藤哲夫「知られざる河野談話の解釈」・・河野はさておき、「官僚たちには官僚としての自負があった」、「苦渋の文章にまとめた」、「政府が認めている」という人に、「強制連行」は認めていませんと、「「本当のことを百回繰り返す」方がベター」
2014.1.1 産経「河野談話の欺瞞性さらに 事実上の日韓「合作」証言」・・「趣旨は発表直前に(韓国側に)通告した。草案段階でも、内閣外政審議室は強制性を認めるかなどの焦点については、在日韓国大使館と連絡を取り合って作っていたと思う」(石原信雄) 2014.2.3 「つくる会」河野談話撤廃を求める署名24000筆提出 2014.2 山田宏(当時、維新の党) 衆議院予算委員会で河野談話の責任者を参考人招致するよう提案 2014.2 石原信雄官房副長官(当時)が参考人として国会で証言 2014.2.20 維新の会 河野談話の内容を検証する機関の設置を各党に提案 2014.2.28 菅義偉官房長官予算委員会で河野談話の「検討チームをつくり、掌握したい」(聞き取り調査などを再検討の予定(『朝日』) 2014.3.14 安倍首相「河野談話の見直しはしない」(参議院予算委員会 有村治子の質問) 2014.4.18 維新の会河野談話の見直し要求する16万署名提出. 2014.4 正論編集部「河野談話に裏付けなし 石原元官房副長官の歴史的国会証言を完全収録」(『正論』5月号) 2014.4 阿比留瑠比「河野談話 「日韓合作」の舞台裏を暴露する」(『正論』5月号)・・韓国の顔色うかがった政治文書、河野氏の呆れた二枚舌、韓国政府にひれ伏した外務省、「総じて」を入れたのは谷野?韓国側要請?
2014.4 山田宏・西岡力「亡国の河野談話と朝日新聞大誤報、克服の展望」(『正論』5月号) 2014.5   西岡力「クマラスワミ報告否定が河野談話見直しへの突破口だ」『正論』6月号・・・河野談話継承でもできた反論、見直しに懐疑的、政府内に司令塔をつくれ、国際社会に体型的な反論を ( http://ironna.jp/article/909) 2014.6.20  河野談話の再検証報告発表 2014.6.20  秦郁彦 BSフジ「PRIME TIME」出演 「親韓議員の河野長官は、心理的・情緒的に動かされた」「「総じて」は河野長官以上の政治的な判断」 山田宏「河野氏の参考人招致の必要性」 2014.6.21 産経新聞「「河野談話」検証 やはり見直しが必要だ 国会への招致で核心ただせ」(主張) 2014.7.1 伊藤哲夫「有意義な「河野談話」検証報告」・・・「日本政府が韓国政府の要求に耳を傾けた」(卑怯な韓国政府の実像を公にした)、「強制連行が確認できなかった」にもかかわらず、そういう事実を「結構です」と認めた河野官房長官の「無責任発言」のせいだ、聞き取り調査は談話の証拠とはされなかった:外交経緯を明らかにした意義(http://www.seisaku-center.net/node/773) 2014.7.3 伊藤哲夫「念押ししたい「河野談話検証報告書」の意義」『チャンネルAJER プレミアムメルマガ』・・・談話は、「一方的譲歩」の結果であり、あくまでも「政治的認識」「取引結果」にすぎないという性格をもっと世界にアピールする、「河野談話」ではなく、「慰安婦談話」、「いわゆる河野談話」と呼ぼう(http://www.seisaku-center.net/node/775) 2014.7.4 秦郁彦 「談話合作の対韓ブーメラン効果」『産経』・・米国の意向もあり、安倍晋三政権は見直しを断念、引き続き談話を継承すると共に、談話の事実経過を公表
2014.8.26 自民党高市政調会長、河野談話見直し要請するも、菅長官、「新談話は考えていない」と拒否 発信強化には理解  2014.9.11 自民稲田朋美政調会長、「前政調会長の方針を引き継ぐ」と河野談話の見直しを求めることを示した 2014.9 山田宏「河野洋平と植村隆を参考人招致せよ」『WiLL』2014.10月号(特集 朝日新聞「従軍慰安婦」大誤報) 2015.4.28 安倍首相、「河野談話,見直す考えない」(日米首脳会談後の記者会見)


(文責:斉藤 正美)

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