2016年2月4日木曜日

日韓「合意」にいたる経緯

2011.08.30 韓国憲法裁判所、韓国政府が日本軍「慰安婦」被害者の賠償請求権に関し、具体的解決のために努力していないことは「被害者らの基本権を侵害する違憲行為である」との決定[1]
2011.12.18 李明博大統領(当時)、野田佳彦首相(当時)に「慰安婦」問題の解決を提案
2012.5.24 韓国大法院(日本でいう最高裁)は初めて、日本の国家権力による反人道的不法行為による「個人の請求権は消滅していない」と判断した
2014.04~ 日韓外務局長協議を12回行う(李相徳(イ・サンドク)東北アジア局長と伊原純一アジア大洋州局長のち2015年~石兼公博局長)
2015.06.22 尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が訪日し、日韓外相会談。
日本側)打開策を示す条件として、「少女像」の撤去や、現政権で最終決着して再び外交問題にしないと事前に約束するよう求めた(朝日新聞2015.6.22
韓国側)「「蒸し返さない」との確約がとれるのか」との疑念がぬぐえず、立ち消えとなった(同上)
「被害者と国際社会が求める方向で適切に処理す」(연합뉴스2016.6.22)「今回の解決策が合意されればそれを最終決着とし、再び提起することはない」(NHK 2016.6.22)
2015.11.02 日韓首脳会談。国交正常化50周年に「慰安婦」問題の早期妥結を目指して、「将来の世代の障害にならないようにすることが重要」との認識を共有した。 (外務省)
2015.12.23 韓国の憲法裁判所で日韓請求権協定を違憲とする訴えが、国内司法対象外として却下。(ハンギョレ新聞2015.12.24
(水面下) 谷内正太郎・国家安全保障局長と李丙琪(イ・ビョンギ)・大統領秘書室長(元国家情報院長2014.72015.2
〈谷内プロジェクト〉2014.102015.6に谷内が訪韓し、慰安婦問題や韓日首脳会談の開催について話し合った。水面下の接触が明らかになることを警戒しソウルの金浦空港内で協議も。李丙琪が駐日大使時代(2013.42014.6)から「安倍首相の外交策士」の谷内局長と懇意に。2014年1月には、日本で国家安全保障局を新たにつくる谷内局長を李丙琪が助けたこともあった。(東亜日報2015.12.26
2015.12.28 日韓外相会談、「慰安婦」に関する「合意」発表。(外務省
同日 ケリー米国務長官、日韓が決着したことを「歓迎する」との声明を発表。「米国の最も重要な同盟国である日韓関係の和解を促し、改善を後押しする」。ライス米大統領補佐官は日韓和解への「包括的な解決策だ」と評価。(日本経済新聞2015.12.30
2016.1.19-21 石兼局長、訪韓し李相徳局長と極秘に会談。 FNN 2016.1.21
*2016.03.31-04.01 米国核安全保障サミットの際に、日本政府は日米韓首脳会談を開く方向で検討している。そこで正式に「合意」を文書化する方向。(日本経済新聞2015.12.30
 
(文責:李杏理)
 

[1] なお、日本政府もシベリア抑留被害者の個人請求権が日ソ共同宣言により消滅したわけではない(外交保護権を放棄したに過ぎない)と1991年3月26日第120国会参議院内閣委員会で表明している。(補足:能川元一)