2017年8月22日火曜日

『対話のために』読書会報告

 今年の5月、『帝国の慰安婦』を高く評価する論者たちによる書籍『対話のために 「帝国の慰安婦」という問いをひらく』(浅野豊美・小倉紀蔵・西成彦編著、クレイン)が刊行された。私たちは去る7月24日に同書を題材として読書会を開催した。 当日は従来からの読書会参加メンバー以外の方々もあわせて17名が参加した。15の論考のうち「普遍的価値の国民的価値からの独立と再融合への道」(浅野豊美氏)、「慰安婦をめぐる歴史研究を深めるために」(外村大氏)、「「帝国の慰安婦』と「帝国の母」と」(加納実紀代氏)、「『帝国の慰安婦』のポストコロニアリズム」(上野千鶴子氏)、「慰安婦問題における人間と歴史」(小倉紀蔵氏)の5つについて、あらかじめ指名された報告者が報告を行い、その後討論を行った。
5つの報告についてはおってその概要を当ブログにて明らかにする予定である。全体としての本書について、多くの参加者が共通して抱いたのは、本書では『帝国の慰安婦』に対する批判的考察を公表した者たちがほぼ完全に匿名化されていることへの違和感である。そのため、具体的な論点についての議論に進展がほとんど見られない。本書のタイトルが「対話」を謳っているだけに、これは残念なことである。
(文責:能川 元一)