2019年8月17日土曜日

「慰安婦」モニュメントに向けられた「歴史戦」・略年表

「歴史戦」・略年表
〜「慰安婦」モニュメントに向けられた攻撃を中心に〜



(作成:山口智美・斉藤正美・能川元一)

2010年10月アメリカ、ニュージャージー州パリセイズパークに「慰安婦」碑設置
2011年3月「なでしこアクション」結成、活動開始(代表:山本優美子)
2011年12月ソウル日本大使館前に「平和の碑(少女像)」設置
2012年4月岡本明子「米国の邦人子弟がイジメ被害 韓国の慰安婦反日宣伝が蔓延する構図」(『正論』2012年5月号)
2012年5月パリセイズパークに対して、在ニューヨーク日本総領事館、碑の撤去を要求。日本から訪問した古屋圭司、山谷えり子ら自民党議員4人、市長、市議らと面会し碑の撤去を要求。
2012年11月“Yes, We Remember the Facts” 広告、ニュージャージー地元紙に掲載。安倍晋三らが賛同
2013年7月
アメリカ、カリフォルニア州グレンデール市に少女像設置
「「慰安婦」の真実国民運動」結成(代表:加瀬英明)
2014年2月
「歴史の真実を求める世界連合会」(GAHT、代表:目良浩一)、少女像の撤去を求めてグレンデール市を提訴
在外日本大使館、領事館が「歴史問題を背景とした、いやがらせ」についての情報募集を開始
2014年3月自民党、「国際情報検討委員会」(委員長:原田義昭)発足
2014年8月アメリカ・ミシガン州サウスフィールド市の私有地に少女像設置
2014年9月
菅官房長官、クマラスワミ報告書について「遺憾」と発言
自民国際情報検討委員会、「性的虐待も否定された」などとする決議
2014年12月外務省がマグロウヒル社の歴史教科書執筆者に「慰安婦」問題の記述変更を要求
2015年2月
朝日グレンデール訴訟(日本会議系、2018年2月に原告敗訴が確定)
朝日新聞「慰安婦報道」に対する独立検証委員会(長:中西輝政)報告書
菅義偉官房長官、GAHTの訴訟について「慰安婦像などの設置は、わが国政府の立場やこれまでの取り組みと全く相いれないもの」「原告の関係者を含む在留邦人とは、わが国の総領事館幹部を通じて緊密に連携を取っている」と記者会見で発言
2015年3月
トニー・マラノ、高橋史朗、山本優美子らが参加した「テキサス・ナイト in NYC」開催
「一九人の日本人歴史家有志」によるマグロウヒル社への訂正勧告
2015年8月
この頃から海外の研究者に右派が英文文献を送付する動きが活発に
オーストラリア・ストラトフィールド市議会、少女像設置を認めない決定(その後2016年8月にシドニーで少女像設置)
2015年9月米サンフランシスコ市議会、「慰安婦」メモリアルの設置決議。(2017年9月に「慰安婦」像設置、除幕式)
2015年11月カナダのトロント市にカナダ初の少女像が設置。
2016年2月杉山晋輔外務審議官(当時)、国連女子差別撤廃委員会の政府報告審査で「強制連行」「性奴隷」否認発言、朝日の「誤報」に責任転嫁
2016年9月韓国水原市、ドイツ・フライブルク市での少女像設置を断念。姉妹都市である愛媛県松山市の反対が理由(その後2017年3月に、バイエルン州の民間団体所有地に設置)
2016年10月高橋、西岡力ら『歴史認識問題研究会』発足。顧問に櫻井よしこら
ユネスコ「世界の記憶」に南京大虐殺関連文書が登録されたことをうけ、日本政府が分担金の支払いを留保(12月に支払い)
東京都新宿区の「アクティブ・ミュージアム女たちの戦争と平和資料館(wam)」に「展示物を撤去しないと爆破する」という脅迫はがきが届く
2017年1月長嶺安政駐韓大使、釜山市での少女像設置に対抗して一時帰国(4月に帰任)
2017年6月米ジョージア州ブルックヘイヴン市で少女像建設、除幕式。在アトランタ総領事、地元メディア取材に対し、慰安婦は売春婦という意味合いの発言をし、問題に
2017年9月
韓国政府の追悼碑設置計画に菅官房長官が「日韓合意の精神に反する」と発言、また「日本軍『慰安婦』の声」のユネスコ「世界の記憶」登録申請について、登録は「ユネスコの本来の趣旨に合わない」「主張すべきは主張して行動」と発言
サンフランシスコ市の「慰安婦」像に関連し吉村洋文大阪市長が姉妹都市提携解消を示唆(2018年10月に解消)
2017年10月米ニューヨーク市の博物館に少女像設置。在ニューヨーク日本総領事館が除幕式に干渉
2017年11月
国連人権委員会の対日審査で、日本軍「慰安婦」問題に関し勧告
自民党「日本の名誉と信頼を回復させるための特命委員会」、対外発信の強化について意見交換
2018年3月米ジョージア州ブルックヘイヴン市で桜祭り開催。在アトランタ日本総領事館、少女像にカバーをかけて隠すことを要求。市側に要求を拒否され、篠塚総領事はイベント欠席
2018年4月フィリピン・マニラ市に2017年12月に設置された「慰安婦」像が撤去される
2018年6月在ニューヨーク日本総領事館、「ひまわりJAPAN」に「歴史問題に起因する嫌がらせ、いじめ相談窓口」委託
2018年8月ドイツ・ボン市の女性博物館における「少女像」の展示計画が日本政府の抗議により阻止される
2018年9月「慰安婦の真実国民運動」の藤井実彦が台南市の「慰安婦」像を足蹴りにしたとして台湾で抗議運動
2018年12月『産経新聞』、「反日』的研究への科研費支出を攻撃する記事を掲載。執筆は当時官邸キャップの田北真樹子記者(現『正論』編集長)
2019年1月フィリピンのルソン島ラグナ州サンペドロ市に設置された「慰安婦」像が撤去
2018年2月杉田水脈衆議院議員、「慰安婦」を扱った科研費研究を「ねつ造」と批判。(2019年2月牟田和恵阪大教授らが杉田を提訴)
2019年6月ドイツ・ドルムント市LWL産業博物館での「少女像」展示に対して、日本領事館員が抗議
2019年8月国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展・その後」で「平和の少女像」が展示されたが、河村たかし名古屋市長が撤去要請、菅義偉官房長官は補助金の交付差し止めの可能性に言及。右派からの抗議や脅迫が殺到し、実行委員会(実行委員長:大村秀章愛知県知事)が中止の決定
2020年10月ドイツ・ベルリン市ミッテ区に設置(9月28日)された「少女像」について、日本政府のはたらきかけを受け区が設置許可を撤回(9日)。しかし市民団体が区の決定の効力停止を裁判所に申し立てたことなどを受け、区は「当面」設置を認めることを表明。
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